趣味

棋士の休日 – 佐藤天彦七段と渡辺明棋王・王将の場合


2014.03.20

佐藤天彦(さとう・あまひこ)七段は中学生の頃から、当時高校生だった渡辺明(わたなべ・あきら)棋王・王将と友人関係にある。先日、佐藤七段は渡辺棋王の自宅を訪ね、家族団らんに加わってきたようだ。その時の様子を佐藤七段が振り返る。

 

*  *  *

 

さて、この日は開口一番「寒くない?」と言われたように、冬の雨が降る、寒い日でした。僕は「寒い寒い」と言いながら渡辺さんの部屋に入りましたが、こんな状況で誰もが期待するような暖かさはなく、寒くてすぐにはコートが脱げません。

 

そこへ「この部屋寒いよね?」と聞かれたので、同意して訳を尋ねました。僕の言葉を聞くが早いか、渡辺さんは暖房の温度を上げ始めます。どうやら妻のめぐみさんに「暖房を上げすぎると気分が悪くなる」と言われ、当初の温度から下げて去られてしまったそうです。その説も一理あるのでしょうけれど、実際に部屋に居る人が寒い思いをしているのは可笑(おか)しな感じです。

 

到着したのが午後3時で、それから3時間ほど研究した後の6時ごろ。夕食時ということで、リビングへ移動します。

 

リビングでは、めぐみさんが料理を作っている最中で、もう半分以上はできていました。

めぐみさんは料理上手で、こうして訪問すると手料理を振る舞ってくれます。3皿のメインにサラダという、ふだん一人暮らしの僕には大変豪勢なものでした。ご子息で小学3年生の柊君も一緒で、4人での食事です。

 

柊君にはきゅうりの辛味和(からみあ)えも出され、おいしそうに食べています。「辛くないの?」と聞くと、「そこまで辛くなくて、ちょっと辛いのがちょうどいい」と言っていました。辛いものが苦手なお父さんとは、味の好みが違うのかもしれませんね。

 

食べ終わった後は、テレビゲームをすることに。柊君はWiiスポーツを希望していましたが、お父さんはウイニングイレブン(サッカーゲーム)がやりたい様子で、お互いなかなか譲りません。寝転びながら、口をとがらせて(見てはいませんが、こういうときの渡辺さんの癖です)「ウイニングイレブンがいい」と最後まで主張していました。

 

結局はWiiスポーツに決まり、2人ずつに分かれます。履歴を見ると、渡辺さんはかなりやり込んでいることがわかり、“プロ”の称号がついていました。最初にプレイしたテニスでは、遠くのボールを拾うために、後列の僕たちの前を実際のテニスのように素早く横断します。皆でその様子を面白がると、「こうすれば取れるんだよ!」。取れなかったですね…。

 

他にはボーリングもしましたが、めぐみさんと柊君は寝る時間になってきたので、お開きに。

 

その後は、少し研究の続きをしてから帰りました。こうして、お互い忙しい時期に入る直前の、次の訪問が楽しみになるような一日が過ぎていったのでした

 

■『NHK将棋講座』2014年3月号より

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