趣味

井山裕太九段が本当に尊敬する3人の棋士


2014.02.17

井山裕太九段 撮影:小松士郎

韓国、日本、中国、台湾、米国、欧州の棋士による囲碁の国際棋戦「LG杯世界棋王戦」。井山裕太九段は残念ながら準々決勝で中国の陳耀燁九段に惜敗したが、「日本の棋士でも世界で戦えるということをこの先も証明していきたい」と力強く語る。そんな井山九段が、本当に尊敬するという棋士とは――

 

*  *  *

 

江戸時代に発展の礎が築かれた日本の碁ですから、本因坊秀策はもちろん、丈和や秀和の碁などはもちろん並べました。有名な「秀策のコスミ」のように、現代に伝わる好手も生まれ、江戸時代の名人を尊敬している棋士は今でも少なくありません。

 

ただ、私はそれと同じくらいに呉清源九段、藤沢秀行名誉棋聖、坂田栄男名誉NHK杯選手権者も、本因坊秀策などと並ぶ憧れの先生です。

 

読者の方には、上記の先生の活躍を生で見ることができた方もいるかもしれませんね。

 

藤沢先生の碁はよく並べました。直接碁を見ていただいたこともあります。褒められた記憶はあまりないのですが、「小さくて生きのいいのが入ってきたな」と喜んでくださっていたと人づてに伺ってうれしく思ったことがあります。

 

呉清源先生は一度タイトル戦のホテルにお見えになったことがあります。対戦相手の高尾紳路九段と並んで正座してお話を伺ったのですが、呉先生を前にすると自然とそうなります。

 

「碁は死ぬまで打てるからいい。いまだに自分は修行の身だ」という先生の言葉を直接聞いただけで、自分も強くなったような気がしました。

 

先生の若かったころの碁を並べていると、新しいことをどんどん試みておられ、今の感覚に近い打ち方をされています。当時としてはかなり画期的な考え方であったと思いますが、時代の進化がようやく呉先生に追いついてきたという気がしています。

 

坂田先生は、一度遠くからお見かけしただけです。藤沢秀行先生を偲(しの)ぶ会にいらしていたのですが、お話しすることはできませんでした。晩年のNHK杯をテレビで見てはいたのですが、実際に見てもやはりものすごいオーラを持つ先生だと感じました。

 

「勝負師」という言葉が本当にぴったりくる先生で、どれだけ重要な対局が続いていても、対局する碁はすべて勝ちたい、という気迫が伝わってきます。一局一局、一手一手に魂がこもっていて、打つ手が本当に厳しく、踏み込みがすごい。本当にすごいの一言です。勝負どころとみたときの切れ味、相手の隙をつく力がすごく、棋戦が少ない時代にあれだけのタイトルを獲得できたのは、本当に驚異的なことだと思います。

 

タイプはそれぞれ違いますが、本当に尊敬する3人の先生です。

 

■『NHK囲碁講座』2014年2月号より

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