趣味

数寄屋大工の棟梁が語る「茶室の魅力」とは


2014.03.29

中村さんが手がけ、昨年秋に完成したばかりのこの茶室は、「縄文と弥生」をテーマに、「日本のすべてを融合した茶室」をめざしたとか。撮影:竹前 朗

「『数寄屋』とは狭い意味で茶室のこと、広い意味では『数寄屋風』ともいわれる日本の伝統的な木造建築を指します」

 

数寄屋大工の棟梁として、数々の茶室を手がけてきた中村義明(なかむら・よしあき)さんは説明します。茶室としての数寄屋がつくられ始めたのは安土桃山時代ごろといわれ、武家社会の書院づくりに対して、格式ばった装飾を可能な限り省いたコンパクトな空間に、茶の湯の精神が注ぎ込まれました。

 

「屋根は枝のように、柱は幹のように、基礎の部分は根のように。数寄屋には木のイメージが重なります。樹木の下に守られているようなたたずまいが理想なのです」

 

床柱に自然の姿を残す丸太を用い、天井には竹や杉の網代(あじろ)など圧迫感のないものを。材料の持ち味を最大限に生かす空間づくりに欠かせないのが、大工や左官、建具師といった職人の技術です。義明さんの父は「最後の数寄屋大工」と呼ばれた名匠・中村外二(そとじ)さん。数ある外二さんの代表作のひとつが、松下幸之助氏が献納した伊勢神宮の茶室です。清楚(せいそ)なたたずまいは、木材選びから吟味に吟味を重ねた緻密(ちみつ)な仕事によるものです。

 

東京、品川の御殿山(ごてんやま)庭園にある「有時(うじ)庵」も、外二さんの代表作のひとつ。この茶室は、建築家、磯崎新(いそざき・あらた)氏による設計で、鉛壁を用いた床の間や、薬師寺の古材を使った床柱など、伝統の技の上に現代の匠の技を存分に生かしたつくりになっています。

 

数寄屋づくりを受け継ぐ工房の匠たち

 

数寄屋の普請では「図面の単位は尺や寸が基本」と義明さんはいいます。

 

「私たちはミリメートルといった細かい数字にはこだわりません。『一寸』と書いて『ちょっと』と読みますが、天然の木材が持つ、ちょっとした誤差をうまくおさめていくのが大工の仕事ですから」

 

といっても、柱や梁(はり)をつなぐ仕口の加工などにブレやがたつきが許されるはずはありません。規格寸法にはおさまらない自然の素材の扱いは、職人たちの細(こま)やかな技術があってこそのもの。

 

茶室は、工房で一度組み立て、微調整を行ってから分解して現場に運ぶこともあります。仮の材料で、一度原寸大の模型を製作し、柱の太さなどを子細に確認してから本番の普請にとりかかることすらあるそうです。

 

「二度と入手できないような貴重な木材を使いますから、間違いが起きないよう、慎重に準備するのです」

 

工房には長年、数寄屋建築に携わってきた大工さんもいれば、明日を担う若手もしっかりと育成されています。

 

■『NHK趣味Do楽 茶の湯 裏千家 茶の湯と出会う』より

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