趣味

茶席に出すお菓子にこめられた職人の思い


2014.02.21

早春の季節に合わせてつくられた「菜種きんとん」 撮影:竹前 朗

茶席では、客はお茶の前に菓子をいただきます。菓子の意匠は季節や、茶会・茶事の趣旨によって決まります。明治41年に創業した老舗で職人・副店長として働く植村健士さんは「お菓子をつくるのが何より好き」と語ります。植村さんに、菓子づくりの魅力をうかがいました。

 

*  *  *

 

亭主の思いをどう表現するか

 

お茶席での主菓子は、ご亭主がどのような趣向でお客様をもてなそうとなさっているのか、その思いをわかったうえで、それに添ったお菓子を提案させていただきます。計画なさっているお茶会やお茶事全体のバランスの中で考えますので、お軸や菓子鉢など、お道具についてお尋ねすることが欠かせません。

 

次に、見本をつくってみて、イメージと合わないところがあれば調整していきます。お客様の思いをどれだけうまく表現して差し上げるかがいちばん大事なことだと思っております。

 

時には思いがけないご注文をいただくこともあります。そのとき「それはおかしいです」と言ってしまったら、そこで終わってしまいます。そうではなく、真正面から取り組んで、今までやったことのない製法や配合を試したりもします。試行錯誤して新しいお菓子をつくり上げ、お客様に満足していただけますと、自分の中の引き出しが一つ増えたような喜びを感じます。

 

何と言ってもいちばんうれしいのは、「あのお菓子、ありがとう。おいしかったわ。みんな喜ばはったわ」とお客様に言っていただいたときです。三、四年も前のお菓子に「あのときのお菓子、おいしかったわあ」とお言葉をいただくと、それはうれしいものです。

 

お菓子はお道具とは違って消えるものですが、記憶には残ります。一度きりの出会いで、記憶にしか残らないというのも、お菓子の魅力だと思います。

 

■『NHK趣味Do楽 茶の湯 裏千家 茶の湯と出会う』より

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