趣味

藤田綾女流初段とNHK杯


2014.02.09

イラスト:佐々木一澄

2010年度の第60回大会からNHK杯将棋トーナメントの読み上げを務めている藤田綾(ふじた・あや)女流初段。将棋を始めた頃から欠かさず見ていた番組に参加することができ、嬉しさもひとしおだったとか。収録時のエピソードも交えて、NHK杯との関わりについて語っていただいた。

 

*  *  *

 

日曜日はNHK杯を観てから将棋道場に行くというのが小学生時代の習慣でした。今ではさまざまな媒体で対局を観ることができるようになりましたが、私が将棋を始めた頃はあまり機会がなかったので、貴重な番組でした。毎週日曜日が楽しみで楽しみで仕方(しかた)がない!と思っていた番組に、自分が出演できるなんて夢にも思いませんでした。

 

依頼を頂いたとき、「特番の読み上げかな?」となぜか勘違い。後にレギュラーだと分かったときはうれしくて踊りだしそうでした(笑)。1年目に「声を聞いていると眠くなるとよく言われるので、対局者の方々を眠くさせないようにしたいと思います」と番組関係の皆さんに挨拶したことも懐かしく感じます。

 

初めての収録ではそれはそれは緊張をして…。間違えないように読み上げるのが精一杯(せいいっぱい)で、局面があまり頭に入ってきませんでした。また慣れてきた頃、記録用紙に棋譜を書き込もうとしたときにペンを対局者の近くに落としてしまったことも。急いで拾わなきゃと思い、手を伸ばした瞬間にぱっと正面のカメラのランプ(映っていると赤く光ります)が…。それ以来しっかり握るようにしています。ちなみに、ペンは大盤解説にカメラが切り替わったときに回収しました(笑)。

 

他にも一対局に千日手が2回!で焦りすぎて挙動不審になったり、短手数での終局に驚きすぎて手数を間違えてしまったり、とさまざまな失敗がありましたが、今では落ち着いてできるようになってきました。今の一番気をつけていることは、局面に没頭して自分の考えた手を読み上げないようにすることです。

 

対局を間近で観られるのは役得ですね。内容が勉強になるのはもちろん、棋士の表情や仕草(しぐさ)まで一人一人個性があっておもしろいです。女流棋士であり将棋ファンの私には幸せな環境です。

 

また司会の矢内さんとはNHK杯を通して親しくさせていただいています。優しく接してくださり、さまざまな面で尊敬している先輩です。楽屋での会話も楽しいひとときです。

 

そして何といっても将棋ファンの皆様に声をかけていただく機会が増えました。「テレビで観てるから初めて会う気がしない」とうれしいお言葉をかけていただくことも。そうしたことが励みになり、また活力にもなります。1年が早く感じますが、番組で学んだことを吸収して自分自身成長していけたらと思います。第63回大会も残りわずかとなってまいりましたが、この将棋講座テキストと併せて最後までお楽しみください♪

 

■『NHK将棋講座』2014年2月号より

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