趣味

「囲碁は世界平和に貢献できる」石倉昇九段が囲碁を通じて伝えたいこと


2014.01.24

熊本県立宇土中学校での授業風景(2013年)写真提供:石倉昇

NHK講座の講師を5回にわたって務めた石倉昇(いしくら・のぼる)九段は「碁界きってのカリスマ講師」として知られている。東京都内のカルチャースクールで30年間続いている囲碁教室は、現在も盛況。30年にわたる指導経験をもとに確立された指導法は、そのソフトな語り口と相まって、生徒さんたちから「分かりやすいだけでなく実戦に役立つ」と大好評だ。

 

アマチュア指導の第一人者として不動の立場を築いた石倉は現在、その活躍の場を「学校」へと広げている。8年前に東京大学で囲碁を教え始めたことを契機に、学校で碁を教える機会が多くなった。今や大学では屈指の人気講座となっているそうで、入門指導や講演の依頼も増えているという。

 

*  *  *

 

8年前に母校の東京大学で「単位の取れる囲碁の授業」というのを担当することになりまして、現在は客員教授という肩書で続けさせていただいています。囲碁をまったく知らない学生に碁を一から教えているということですね。

 

最初は「果たして授業でやって、学生が集まるのか?」という不安がありました。ところが定員40人のところに応募者が100人を超えるのです。ですから希望者にはまず「なぜこの講義を受けたいのか」という作文を書いてもらい、それで40人に絞ることを毎回行っています。おかげさまで現在はかなりの人気講座になっていて、期間は半年、13回か14回の講義で全員が19路の碁盤で打てるようになっています。

 

大学の授業というのは一回ごと、学生に授業の感想を書いてもらうのですが、最初のころは難しいことを教えてしまっていたので「結構難しかった」ということを書かれました。でもそのアンケートで「ここが難しかった」という具体的な意見があったりしたので、私としても「彼らはこういうところが分からないのか」ということが理解できて、教え方も改善していくことができてきました。それもあって最近は、ほとんどの学生が「面白かった」と書いてくれるようになっています。

 

また、2013年の4月と6月に、熊本県の宇土中学校で囲碁の授業をしました。1年生全員となる80人に碁を教えたのです。50分の授業を計4回行いました。そうしたら、子供たちからすばらしい手紙をたくさんもらったのです。もう本当に感動するような手紙ばかりで、「最初は碁って難しくて面倒くさいものと思っていたけど、いざやってみたら実に面白かった」という内容ばかりでした。子供はうそをつかないと思っているので、本当にうれしかったですね。

 

今後ますます多くの学校で広まるといいなと思っているのですが、そのためには学校関係者の方々に「囲碁というゲームはいろいろな効用がある」と理解していただかなければなりません。人と人とのコミュニケーション能力を育むとか、相手を推し量れるようになるとか、バランス感覚を養えるようになるとか…。

 

いま子供たちがいろいろなゲームをやっていますけど、それらの多くが「モンスターをやっつける」みたいな「戦争のゲーム」ですよね。それに対して囲碁は「相手にも与えて、自分はそれより少し多く取る」ということを目的としています。つまり「相手のことを理解したうえで、自分の言い分を聞いてもらう」わけで、「平和のゲーム」なのですね。

 

私はこういうことも学生や生徒に話すようにしていますし、こういうゲームがもっと世の中や世界中に広まれば、世界平和にも貢献できると思っているのです。

 

■『NHK囲碁講座』2014年1月号より

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