趣味

飯野女流2級が思わず「え〜っ」 矢内女流四段との初対局


2014.01.13

イラスト:佐々木一澄

昨年プロ入りを果たした飯野愛(いいの・あい)女流2級。奇しくも幸せな者同士の対局となった女流棋士としてのデビュー戦の思い出を振り返る。

 

*  *  *

 

私の女流棋士としてのデビュー戦となるマイナビ女子オープン本戦公開抽選会でのこと。何かのイタズラ? 対戦相手が矢内先生と決まった瞬間「え〜っ」というのが正直な気持ちでした。矢内理絵子女流四段は、NHK杯でもおなじみですが、私の師匠 飯野健二(関根茂門下)の妹弟子で、私とは叔母・姪(めい)弟子の関係、言わば一門対決です。

 

無論対局は初顔合わせですが、これまでお仕事などでご一緒した時には、いつもお気遣いをいただき、私にとっては優しいお姉さん的存在です。棋歴は皆様がご承知のとおり、数々のタイトルを獲得してきた実力者です。

 

そしてもう一つ。この一戦は女流棋士誕生に幸せ気分(?)の飯野vs12月にご結婚を控えて(本当におめでとうございます♪)幸せ絶頂の矢内戦。師匠いわく「最幸者決定戦!?」の対戦だそうです(笑)。

 

当日の朝、千駄ヶ谷の一駅前で降り、気持ちを奮い立たせながら歩いて将棋連盟へ。対局室に向かう階段を昇ると廊下には関係者の方々が…。経験のない空気に急に緊張が走りました。そして対局室に入ると、既に正座している矢内先生の姿(礼儀として先に待機すべき)。心の動揺を隠せぬまま着座すると、今度は目の前に立派な盤と駒、脇息(きょうそく)に座布団。「ここで対局するんだ」と感慨に浸り…。今考えればこの時点で勝負に向けての姿勢も集中力も欠如していたのかもしれません。

 

定刻10時。いよいよ対局開始です。肝心な将棋は、序盤早々から形勢を損ね、後はそのまま形も作れずの完敗でした。勝敗よりも不出来な将棋を指してしまったことがとても残念でした。反省点はたくさんありますが、今回の大事な一戦に控えての調整ミスに加えて、更には実力不足を痛感させられました。ただ、この敗戦で自分の中で学んだこともたくさんあります。

 

・今までにない対局雰囲気!

・矢内先生の対局姿勢!

・時間の使い方!

 

師匠が好んで書く色紙の揮毫(きごう)に「勝ちは一知、負けは千得」という言葉があります。勝った将棋よりも負けた将棋から学ぶことのほうが多いといった意味ですが、盤上、盤外ともに正にその通りの一局でした。

 

後日、不出来な将棋にも関わらず、さまざまな方々から温かい励ましのお言葉をいただきました。これまでも何度もくじけそうになり、女流棋士の道を諦めようとした時も、こんな風に私は応援され、励まされ、支えられてきたことを思い出しました。

 

記念すべき矢内先生との一戦は、苦いデビュー戦となってしまいましたが、この敗戦を決して無駄にはせず、日々努力を怠らず、私の好きな駒“歩”のごとく、一歩一歩前に進んで行きたいと思います。

 

■『NHK将棋講座』2014年1月号より

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