趣味

佐藤天彦七段、将棋道具のこだわりと思い入れ


2013.12.26

佐藤天彦(さとう・あまひこ)七段が『NHKテレビテキスト将棋講座』で連載しているエッセイ「『貴族』天彦がゆく」。12月号では、棋士の魂とも言える盤や駒などの道具について筆を走らせる。

 

*  *  *

 

今回は、僕たち棋士がふだん使っている盤や駒などの道具についての話をしようと思います。

 

棋士の勉強法として研究会が一般的なことは以前書きました。その中で、僕が所属している研究会のほとんどは脚付きの盤を使い、床に座る形式で行われています。そのための専用部屋を持っている人もいて、これはとても快適な環境です。

 

僕は研究部屋は持っていませんが、一部屋まるまる将棋だけに使えるというのは贅沢(ぜいたく)で、憧れることのひとつですね。

 

ただもちろん、椅子に座って指すのも普通のことです。将棋連盟で研究会をするときは、大体この形式になります。駒は備品のプラスチック駒ですが、それでは味気ないと感じて、木の駒を持参する人もいます。僕も木の駒で指すほうが好きなので、支度をするときに気が回れば持って行くこともあります。

 

駒は、将棋道具の中でこだわる人が非常に多いものではないでしょうか。棋士も駒に対する思い入れの差はそれぞれあるかもしれませんが、やはり良い駒を持っている(これは買う以外に、譲り受けたりすることもあるのだと思います)人が多いような気がします。

 

一例をあげれば、宮松影水(故人。もっとも有名な駒師のひとり)作の駒を使ったこともあります。味のある綺麗(きれい)な飴(あめ)色をしていて、最初は「これが影水の駒か」と、驚きとともに納得したことを覚えています。

 

木地についてですが、派手な斑(ふ)や杢(もく/駒に使う木地の模様。美しいものほど工芸的価値が高く、タイトル戦でも使用されます。僕はこういう模様は好きです)が入っているものをふだん使いしている人は少ないかもしれません。これは光の反射などで見づらい場合があるからで、そういう実用的な意味ではやはり柾目(まさめ/縦に木目の線が入っており、その間隔が狭く細いものは「糸柾」、赤みのあるものは「赤柾」などと呼ばれます)が人気でしょうか。斑や杢でも、控えめなものはよく見る印象です。

 

次に盤です。脚付き盤は駒よりも場所を取りますから、一人でいくつも持てるものではありません。そのため駒よりも話題に上ることが少ない気がしますが、これも素材と職人技を高い次元で共存させた工芸品です。

 

中には四方柾と呼ばれる、盤の面すべてが柾目という、とんでもないものもあります。さすがに研究会などではお目にかかりませんが、それでも(厚さ)四寸から五寸以上ある良い盤を所有している人が多いです。中には七寸以上のものもあり、これはかなりの重厚感です。

 

僕自身はすごく高級な道具をそろえているわけではありませんが、盤を買うときは木目などにこだわりましたし、駒は子供のころから使っているものです。新しい駒を欲しいと思うこともありますが、今使っている駒にも思い入れがあります。これについては、また機会があれば書いてみたいお話のひとつですね。

 

まだまだ紹介しきれないところも多いですが、棋士の道具に対する思いの一端を、皆さんにも感じていただければ幸いです。

 

■『NHK将棋講座』2013年12月号より

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