趣味

名人戦になると強い森内俊之名人


2013.03.04

将棋界の第一人者は羽生善治——。これは棋士に共通する見解だという。しかし、羽生三冠(王位・王座・棋聖)に7連敗中だった森内俊之名人は、名人戦になると強いという。河口俊彦七段が2012年の名人戦を振り返った。

 

*  *  *

 

羽生善治が七冠王になる前年あたりから現在に至るまで、棋士の見方は、常に第一人者は羽生、であった。

 

この2、3年の間、羽生が渡辺明にタイトル戦で3回連続して敗れたときは、さすがに渡辺の時代になった、という説が若手棋士間で出たようだが、大勢はまだわからない、であった。

 

そして昨年秋、羽生は王座戦で渡辺を破り、世論はやはりまだ羽生が上、となっている。

 

こんなふうに棋士の見方はだいたい誤らないもので、前回の平成16年のころは、タイトルが王座だけとなり、スランプを感じさせたが、そんなときでも、いちばん強いのは羽生との評価は変わらなかった。

 

強者のスランプは短い。翌17年になると、王位、王将、棋王と三冠を奪い返して四冠。A級順位戦も後半に伸びて、挑戦者となった。対して森内俊之は、前期三冠王だったのが、17年春の名人戦開始のときは、名人位だけとなっていた。

 

調子の差は歴然としているがそれだけでなく、森内は王将戦、棋王戦で負け続け、羽生との対戦成績は7連敗中だった。

 

こうしたデータを見ると、この期の名人戦は、羽生絶対有利と思われたが、森内は名人戦になると強いのである。前にも書いたが、昨年の名人戦のときも同じで、森内は平成23年から24年の春にかけて、11連敗を含むなどして、年間勝率は3割台と、信じられぬほどの不成績だったのに対し、羽生はA級順位戦全勝で挑戦者になった。それでも、森内が勝った。そう、名人戦になると強いのだ。

 

■『NHK 将棋講座』2013年2月号より

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