趣味

木谷門下の内弟子生活は勉強三昧


2013.12.17

小川誠子六段 撮影:藤田浩司

のちの日本碁界を背負って立つ逸材を続々と輩出した木谷實(きたに・みのる)門。彼らと同時期に内弟子生活を送ったのが小川誠子(おがわ・ともこ)六段であり、「この時代の経験があるからこそ、今の私があるのです」と当時を振り返っている。

 

最も印象に残っている、いくつかのエピソードを披露してもらった。

 

*  *  *

 

(内弟子のなかで)女性は私一人だけでしたが、この当時に思っていたのは「男性というのは本当にすごい」ということですね。もう本当に尊敬の思いでいっぱいでした。

 

例えば小林光一さん。私はお母さま(木谷夫人=美春さん)から「女性は碁が強いだけではいけません。いろいろなことができないと」と言われ、朝ごはんを作るのを手伝っていたのですが、5時半くらいに起きると、小林さんはもう勉強しているんですよ。薄暗い中で…。

 

ほかの内弟子も似たようなものでして、基本的に内弟子の数に対して碁盤が足りていないという事情がありましたので、皆さん前日の夜に布団へ入るとき、碁盤を抱えるようにして寝るのですね。それで朝起きたら、その碁盤で勉強するという…。寝食を共にして一緒に碁を勉強する仲間といっても、同時にライバルでもあるわけですから、こうしたところにも競争があるわけです。そうした環境の中で過ごし、兄弟子たちの必死な姿を間近で見ながら、私も「プロになりたい」という思いを強くしていったのでした。

 

また、朝の日課としては、朝起きたらまず碁を一局並べ、それからラジオ体操、朝食、もう一局並べてから学校へ行くという流れになっていました。でも、すでにプロ入りしている年長の兄弟子は、ちょっとだけお寝坊が許されていました。で、私はまだ寝ている兄弟子の布団の近くに碁盤を持っていって、そこで石音高く勉強します。すると兄弟子がむくむくっと起きてきて「その手はね、あの手はね」と教えてくださり、そのうち「一局打とうか」と言ってくださいました。それがとてもうれしかったので、私はいつも寝ている兄弟子の傍で勉強していたものです。懐かしい思い出ですね。

 

■  『NHK囲碁講座』2013年12月号より

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