趣味

絵本の印象を左右する「色づかい」の極意


2013.11.15

『うちゅうたまご』 イースト・プレス 2009年出版 撮影:福田稔

絵本作家の荒井良二(あらい・りょうじ)さんに絵本の作り方を教わる番組『NHK趣味Do楽 荒井良二の絵本じゃあにぃ』。絵本の印象を大きく左右する色づかいについて、荒井さんのこだわりを聞きました。

 

*  *  *

 

色を塗るときは自分の好きな色を塗りがちですが、普段使わない色を塗ることで、新しいストーリーを生みだす可能性もあります。場面ごとに、単調な色(自分の好きな色)を使っても悪いわけではありませんが、たとえば淡い色がどす黒い色に変わることで、物語に起伏を生じさせることも可能です。

 

ぼくはまず、塗りたい色を塗る。空を描くとき青い色、つまり固有色しか選べないとしたら、悔しいし、常識的な色の縛りからも解放されないことになる。だからぼくの描く空は黄色だったりします。

 

みなさんも固有色にとらわれず、自由に考えてください。その意味では、きれいな色も千差万別で、当然、汚い色も存在しない。色が混ぜ合わさるときの瞬間の色彩美を見つけてほしい。例えば赤に黄をさすと微妙な赤のぼかしが現れたりします。もちろん絵の具の種類によっても違いがあるから、経験を重ねて自分なりのデータを積み重ねることが肝心です。

 

背景の色も物語の進行を助けますので、きちんと色を使いましょう。それは部屋におもちゃが置いてあることによって、その部屋が子ども部屋とわかるのと似ています。

 

色について考えるならこの1

 

色について考えるなら、『うちゅうたまご』。

 

この本は「“ライブペインティング” で絵本が作れるか」というところから生まれた本です。本にするときは、ライブペインティグを撮影した写真にあらためて色を塗ったり、順番を入れ替えたりしました。ぼくは絵本を描くときは、ことばから作るんだけど、この本は絵が先にあって、あとからことばを考えた。

 

どんどん描いてどんどん変化するのが、ライブペインティングだけど、撮影があるから、「そこでちょっと、止めてください!」とか言われて中断する。その「止めてください」と声のかかるポイントと、ぼくがひと区切りと感じるポイントは、当たり前だけど違うんだよね。ライブペインティングはどこかで必ず、やめなきゃいけない。加えて、どこが完成でどこからがやりすぎなのかも考える。色が重なってくると、発色もにごるし。

 

絵を描く流れを見きわめることは難しいけど、こればっかりは描く経験をつんで、自分のタイミングをつかむしかない。絵の創作の経験値を上げるために、ぼくはいろいろチャレンジしますよ。

 

■『NHK趣味Do楽 荒井良二の絵本じゃあにぃ』より

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