趣味

墨を使って物の形をとらえるトレーニング


2013.11.12

墨で形を取る荒井さん。撮影:福田稔

絵本作家の荒井良二(あらい・りょうじ)さんが、絵本の作り方を指南する『NHK趣味Do楽 荒井良二の絵本じゃあにぃ』では、荒井さんならではの独特のメソッドが話題を呼んでいます。絵本作りの基礎となる「ものを把握する力」のトレーニングでは、墨汁を使って面をとらえていきます。荒井さんに、墨を使う狙いはどこにあるのかをうかがいました。

 

*  *  *

 

墨を使って描くというのは、墨も一つの色だからです。それと同時に、墨のもつ強い個性は、色の迷いをなくす意味もあります。色で迷っていると、描くことに集中できませんから。特に日本人は、墨一色のほうが手の運びがよい傾向があります。

 

日常では線で絵を描くことが多いけれど、面で描くのもデッサンの一種なんですね。面のデッサンという視点があると、自覚をもったよい線を引くきっかけにつながります。

 

また、できあがった墨の絵に短冊を使って色をあしらうことで、色も意識できます。うれしそうな色、反対に悲しい色ってどんな色なのか、考えるでしょう。さらに短冊をどこに貼るのかも、それぞれのセンス。これらはすべて、絵本を総合的にデザインする訓練につながっているんです。

 

「墨で線を描き、面をとらえる」という絵本ワークをすると、どんなところが鍛えられますか?

 

●見たものを簡略化して写し取る力

●伝えたいことを簡素化した絵で伝える力

 

などが鍛えられます。

 

画材を墨一色に限定することは、色を選ぶ迷いを一時的に遠ざけ、対象となるものの形を正確にとらえて描く環境を生みだします。

 

わたしたちは絵本を描くときに「絵本の絵を描く」とひと言でいいます。しかし、そのなかには、絵を描くことのさまざまな迷いが含まれているのです。けれどその迷いは、画材を絞り込むことで、少なくできるのです。

 

「墨で線を描く、面でとらえる」ワークは、迷いを少なくして絵を描くことに集中する、絵本の基礎画力を鍛えます。

 

■『NHK趣味Do楽 荒井良二の絵本じゃあにぃ』より

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