趣味

佐藤天彦七段は甘い物がお好き


2013.11.02

頭を使うとお腹がすくと言うが、対局で頭脳をフル回転させる将棋棋士は、ふだんどんなものを食べているのだろう。佐藤天彦七段が、棋士たちの食生活について綴る。

 

*    *    *

 

某月某日、藤井猛九段邸にて研究会。ふだんは6人なのだが、この日は欠席者が2人出て、藤井九段、松尾歩七段、伊藤真吾四段と僕の4人で行われた。昼食時には、食についての話題が膨らんだ。野菜や魚がおいしい、有力そうな飲食店に入ったことに端を発したものだ。ひとくち、ふたくち食べてから、さっそく「いいですね」「また来ましょう」などの声があがる。「いつものイタリアンもいいですけどね」とピザがおいしい“いつものイタリアン”もフォローしておいたが、「味はおいしいですが、少し脂っこいとも思うんです」とは松尾さんの言。確かにそのとおり、どちらかというとあっさり目が好きな松尾さんの嗜好(しこう)を考えると頷(うなず)ける。

 

ちなみに、結構食べるイメージもある伊藤さんは野菜ランチを注文していた。「最近控えてるんだよ」とのこと。人生で、もっとも写真を多く撮られるといってもいいお祝いのイベントが、近くに予定されているそうだ。

 

「一日家にいるときも三食食べるからね。太る太る」とぼやいていたのは藤井先生だ。帰ってからも、藤井邸の研究会でいつも出されるお茶菓子(フィナンシェなどの焼き菓子)を指さして「これも相当カロリーあるんだよ。一食分くらいある。本当は食べちゃいけない」。手を伸ばしては、冗談めかしつつ「だめだ、だめだ」と自重されていた。僕もこういうお菓子が好きなので共感できる部分が多い。それに加え、ここで供されるお菓子はいつもおいしく、結局いただくことにしたのだった。

 

対局後の間食(夜食)についても議論が交わされた。将棋を考えると甘いものが欲しくなるし、疲れて帰宅すると小腹が空くこともよくある。藤井先生も局後にお腹がすくのは同様だったようなので、具体的に何を食べているか尋ねてみると「パスタ(スパゲティ) とか」。パスタは藤井先生の好物のひとつだが、対局後の一手としては珍しい気がして、一同(推測だが)興味をそそられた。「コンビニで買うんだよ。最初は普通盛りを買うんだけど、食べてるうちに食欲が出てきて足りなくなる。ちょうど良くできているんだ。で、結局大盛りを買うことになる」。自嘲気味に語る藤井先生に、「でも先生はお酒を飲まれないですから」と、お酒好きで、食べるのも好きな松尾さん。藤井先生はお酒を飲まれないのだ(伊藤さんや、僕もそうだ)。

 

しかしあらためて考えてみると、ツイッターなどに食べたものをつぶやくこともある伊藤さんも含め、ここにいるメンバーは食べるのが皆好きらしい。当の藤井先生は、「そんなに食べてお酒も飲んでたら、これどころじゃ済まないよ」と苦笑しながら返していた。ちなみに例の焼き菓子も、その後検討に熱が入っているときにちらりと見てみると、食されていた。

 

この数日後。木村一基先生とのVS終了後、「うなぎと焼き鳥どっちがいい」の質問に「うなぎでお願いします」と即答した僕。結婚式のような予定はないにせよ、少しは気をつけたほうがいいのかもしれない。

 

■『NHK将棋講座』2013年10月号より

 

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