健康

「頭けい部がん」とは?


2013.10.17

脳より下側で、鎖骨より上側の領域にできるがんを「頭頸部(とうけいぶ)がん」と総称する。がん研有明病院 部長の川端一嘉(かわばた・かずよし)さんによると、頭頸部癌がんのうち頻度が高いのは「口腔(こうくう)がん」「咽頭がん」「喉頭がん」の3つだという。本稿ではこの3つのがんについて川端さんに詳しく解説していただく。

 

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頭頸部がんとは

 

「頭頸部」とは、脳より下側で、鎖骨より上側の範囲を指し、「頭頸部がん(※1)」とは、この領域にできるがんの総称です。口、のど、鼻、耳などのさまざまな器官があり、社会生活や生きていくうえで非常に重要な部位となっています。頭頸部がんには、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、鼻腔(びくう)・副鼻腔がん、唾液(だえき)腺がん、甲状腺がんなど、数多くのがんが含まれます。

 

これらのがんは、一般的ながん検診の項目に入っていないため、早期に発見するには、自分で気付いて早めに医療機関を受診することがとても重要です。頭頸部がんは、主に耳鼻咽喉科と口腔外科の担当になりますが、がんの専門病院などでは、頭頸部のがんを専門に治療する「頭頸科」を設けているところもあります。

 

頭頸部がんのうち頻度が高いのは、「口腔がん」「咽頭がん」「喉頭がん」の3つで、今回は、これらを中心に解説します。

 

◉口腔がん——口の中にできるがんで、舌にできる「舌がん」、頰の内側の粘膜にできる「頰粘膜(きょうねんまく)がん」、歯ぐきにできる「歯肉がん」、舌の下にあたる口腔底にできる「口腔底がん」などがあります。

 

◉咽頭がん——「咽頭」とは、鼻の奥から食道に至るまでの器官で、飲食物や空気の通り道です。上から「上咽頭」「中咽頭」「下(か)咽頭」の3つに分けられ、がんができた部位によって、「上咽頭がん」「中咽頭がん」「下咽頭がん」と呼ばれます。

 

◉喉頭がん——「喉頭」とは、いわゆる“のどぼとけ”の部分に位置します。喉頭を中心に、舌の付け根から気管の間にできるがん(※2)が、喉頭がんです。ここは、空気の通り道であり、飲食物が気管や肺に間違って入らないようにすることも役割の一つです。また、発声に重要な役割をもつ「声帯」があります。

 

◆頭頸部がんの特徴

 

頭頸部には、「飲食」「呼吸」「発声」など、人間の生命維持や社会生活を送るうえで重要な機能が集中しています。がんが進行するにしたがって、治療による影響が大きくなります。この部位に障害が生じると、例えば、食べ物を嚙(か)んだり飲み込んだりする機能を失ったり、声を失ったりするなど、生活の質に大きな影響を与えてしまいます。機能障害を少なくするためにも、なるべく早くがんを発見し、治療を受けることが大切です。

 

口腔がんの場合、口内炎と区別がつきにくいこともありますが、「粘膜の病変がいつまでも治らず、しみたり、痛みが続く」「病変のある部位にしこりがある」「粘膜の色が白く変色している」などの症状が見られたら、注意が必要です。

 

特に粘膜に変色が見られたり、しこりに厚みが出て大きくなってくるような場合は、一度医療機関を受診してください。もちろんすべてががんというわけではありませんが、「前がん状態」のこともありますので、日頃から口腔内の状態をよく観察するようにしましょう。

 

下咽頭がんと喉頭がんの場合、器官が隣接しているので、同じような症状が見られることがあります。共通する症状としては、「食べ物が飲み込みにくい」「声がかすれて、いつまでも治らない」「痰や唾液に血が混じる」などがあります。

 

また、のどと耳は上咽頭に位置する耳管(※)という管でつながっているため、上咽頭にがんができると、「耳の閉塞感」や「鼻詰まり」を感じることがあります。これらの症状で耳鼻咽喉科を受診したところ、上咽頭がんが発見されたというケースもあるため、どの部位でも症状がいつまでも治まらない場合は、医療機関を受診することが勧められます。

 

頭頸部がん全般の症状としては、「首のしこり」があります。がんが首のリンパ節に転移すると、リンパ節が腫れて、触れるとしこりがあるのがわかります。2cmぐらいになると、自分で触ってわかるようになります。

 

気になる症状がある場合は、耳鼻咽喉科、口腔外科、頭頸科などを受診してください。咽頭や喉頭も、鼻から入れるファイバースコープで苦痛なく簡単に調べることができます。

 

※1 一般に、目や皮膚は含まない。

※2 喉頭がんは、声帯のある部位にできる「声門がん」、それより上の「声門上(じょう)がん」、下の「声門下がん」の3つに分けられる。

※3 耳管は、耳の鼓膜の奥と上咽頭をつなぐ長さ約35mmの管。鼻腔と上咽頭もつながっているため、上咽頭にがんができると、「鼻詰まり」を感じることもある。耳管は、換気を行って、中耳と外界の気圧を同じにしている。

 

■『NHKきょうの健康』2013年10月号より

 

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