健康

全身に悪影響を及ぼすこともある歯周病


2013.07.02

「歯周病」とは細菌が炎症を起こし、歯周組織を破壊する病気を指す。歯周病は歯肉の炎症から始まるが、歯の周りだけにとどまらず、全身に悪影響を及ぼすことがあると、東京医科歯科大学教授の和泉雄一(いずみ・ゆういち)さんは指摘する。90歳までしっかり噛むためにも、歯周病に関する正しい知識を身につけたい。リスク要因や病状の進行について和泉さんに詳しく聞いた。

 

*  *  *

 

「歯周病」とは、細菌(歯周病菌)が歯に付着して「歯肉(歯ぐき)」に炎症が起こり、「歯周組織」が破壊されていく病気です。歯周組織とは、歯肉「歯槽骨」「セメント質」「歯根膜」の4つを指します。歯周病は、痛みを感じることなく徐々に進行していくため、気付いたときには、歯を支える歯槽骨が失われ、支えがなくなった歯が自然に抜け落ちてしまうこともあります。

 

現在、日本人の約7割(厚生労働省「歯科疾患実態調査」2011年)が歯周病になっているといわれています。そのうちの半数は、歯ブラシなどを使い、セルフケアをしっかり行えば治せる段階のものですが、残りの半数は、医療機関を受診して専門的な治療を受けることが必要とされます。

 

また、歯周病は、歯の周りだけにとどまらず、脳血管疾患、心血管疾患、糖尿病など、全身のさまざまな病気を悪化させます。妊婦で重症の歯周病に罹患(りかん)していると、「早産や低体重児出産」のリスクが生じる場合もあります。

 

◆リスク要因

歯周病の発症と進行には、最大のリスク要因である歯周病菌以外に、歯周病を起こしやすい体質などの「遺伝要因」と、喫煙、ストレス、不規則な生活習慣などの「環境要因」が関わっています。これら3つの要因が重なると、重症化しやすいといわれています。

 

◆進行

歯の表面に歯周病菌の塊であるプラークが付着し、歯肉に炎症を起こしているものを「歯肉炎」と呼びます。炎症が歯槽骨まで到達していない段階です。歯肉が少し腫れ、歯磨きの際などに出血することがあります。歯肉炎は、すでに高校生の頃から見られることがあるので、若くても注意が必要です。

 

歯肉炎が進行すると、歯槽骨が破壊され始める「歯周炎(軽度)」が起きます。「歯周ポケット」と呼ばれる、歯と歯肉の境目に深い溝ができ、その中で歯周病菌が増加します。その結果、炎症が進み、歯肉が腫れて、出血や膿(うみ)の滲出(しんしゅつ)が見られたりします。

 

さらに進行して中等度から重度の歯周炎になると、歯槽骨の破壊が進み、歯肉も退縮して、歯が抜ける原因となります。

 

■『NHKきょうの健康』2013年6月号より

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