健康

リスクに注意!「卵巣がん」


2013.05.31

年間およそ8000人が罹患(りかん)するとされ、死亡率が高い病気として知られる卵巣がん。東北大学大学院教授の八重樫 伸生(やえがし・のぶお)さんによると、妊娠・出産経験の有無や年齢、遺伝的な要因などがリスクに関わってくるという。「リスクがある人はそのことを把握し、早期発見に努めましょう」とアドバイスする八重樫さんが罹患しやすい人の傾向を解説する。

 

*  *  *

 

卵巣は子宮の左右両側にある小さな臓器で、そこに発生するのが「卵巣がん」です。進行すると、下腹部の張りや圧迫感、痛み、しこり、がんによって膀胱(ぼうこう)が圧迫されて頻尿になる、などの症状が現れますが、早期にはほとんど自覚症状がありません。そのため、進行するまで気付かずにいる人が多くいます。

 

卵巣がんは、日本で年間およそ8000人が新たに罹患していますが、その約半数が亡くなっているとされ、死亡率の高いがんの1つといえます。しかし近年、卵巣がんのリスクが明らかになり、罹患しやすい人の傾向がわかってきました。卵巣がんのリスクがある人はそのことを把握し、早期発見に努めましょう。

 

卵巣がんの主なリスクは、「妊娠・出産経験がない」「40歳代以降」「卵巣がん・乳がんに罹患した家族や親戚がいる」ことです。食生活や子宮の病気などがあげられることもありますが、それらは明確になっていません。

 

◆妊娠・出産経験がない

 

卵巣では毎月、成熟した卵子が卵巣を覆っている上皮を破って放出されています。これが「排卵」です。排卵のたびに卵巣の上皮は傷つき、修復されて元に戻るということを繰り返しています。

 

卵巣がんは、排卵による上皮の修復過程で、細胞の一部に異変が起きて発生すると考えられています。そのため、生涯の排卵回数が多い人ほど、卵巣がんのリスクが高いといえます。妊娠中や出産後の授乳中は排卵が起こらないため、妊娠・出産経験のある人はリスクが低く、ない人はリスクが高くなるのです。

 

ただし、高齢で妊娠・出産した場合は、その段階ですでに排卵の回数が多くなっています。そのため、妊娠・出産をしていてもリスクが高いと考えられています。

 

◆40歳代以降

 

排卵回数が多い場合にリスクが高くなるため、排卵を繰り返してきた40歳代以降の人もリスクは高くなります。

 

日本では30年ほど前と比べ、卵巣がんの患者さんが増えており、特に40歳代以降の患者さんの増加が目立ちます。これには、晩婚化や妊娠・出産回数の減少といった女性のライフスタイルの変化が、深く関わっていると考えられます。

 

◆卵巣がんなどに罹患した家族がいる

 

卵巣がんのおよそ1割は、遺伝的な要因が関わっているといわれています。実際、家族や親戚に卵巣がんや乳がんに罹患した人がいると、そうでない場合に比べて卵巣がんの罹患率が高いことがわかっています。

 

現在、卵巣がんに関係するとされるのは、「BRCA1」「BRCA2」というがん抑制遺伝子の変異です。この遺伝子の変異があると、女性では卵巣がんや乳がんのリスクが高くなり、男性の場合も、乳がんのリスクが高くなります。

 

■『NHKきょうの健康』2013年5月号より

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