健康

軽度の難聴でも補聴器の活用を


2013.03.30

補聴器は難聴を治療するものではなく、聴力を補うための医療器具で生活の質の意地や脳を活発に保つのにも役立つ。筑波大学教授の原晃(はら・あきら)さんは軽度の難聴であっても前向きに活用を検討してほしい、と言う。その理由とは——?

 

*  *  *

 

補聴器は難聴を治療するものではなく、聴力を補うための医療器具です。

 

補聴器には、胸のポケットに入れて使う「箱型」、イヤホンのようなものを耳の穴に入れ、本体を耳に掛けて使う「耳掛け型」、非常に小さく目立ちにくい「耳穴型」など、多様な種類があります。最近は、両方の耳に掛けて使うことで指向性を高め、音の方向などをわかるようにするタイプもあります。補聴器を購入する場合は、まず耳鼻咽喉科を受診して難聴の原因をはっきりさせ、本当に補聴器が必要かどうかを確認することが大切です。

 

◆補聴器が必要な場合とは

 

音の大きさを表す単位を「デシベル(dB)」といいます。どのくらいの音が聞こえないと難聴とされるかは、この値を目安にみることができます。

 

まず、小声の会話が聞こえる場合、聴力は正常と考えられます。小声の会話は聞こえないが、普通の大きさでの会話が聞こえる場合は、30〜50dB程度の音が聞こえる「軽度難聴」に分類されます。

 

普通の大きさでの会話は聞こえないが、大声だと聞こえる場合は、50〜70dB程度の音が聞こえる「中等度難聴」です。大声の会話でも聞こえず、耳元で大声で話してもらわないと聞こえない場合は、70〜90dB程度の大きさでないと聞こえない「高度難聴」とされます。

 

一般的には、聞こえる音の大きさが40〜45dB程度から補聴器が必要になります。軽度難聴の範囲内ですが、その中では聞こえが悪いほうに該当し、会話などに支障を来すことがあるためです。

 

補聴器の使用を考える目安は、日常生活の中にもあります。その1つに、女性アナウンサーの話が聞き取りにくいことがありますが、これは「加齢性難聴」が原因と考えられます。加齢性難聴の多くは、高音部の聴力から低下してきます。一般的に、女性は声が高く、アナウンサーは一般の人より話す速度が速いので、女性アナウンサーの声が聞き取りにくくなるのです。

 

◆難聴による影響はさまざま

 

補聴器を使うことに抵抗を感じる人もいると思いますが、聞こえの悪い状態では生活の質が低下してしまいます。

 

例えば、スムーズな会話ができなくなるので、家庭や社会で孤立しやすくなります。また、外出先では、自動車の音に気付きにくくなるなど、危険にさらされやすくなります。また、耳から入る情報が非常に少なくなるので、脳の活動が低下することもあります。

 

こうしたことを防ぐためにも、補聴器が必要になった場合は、前向きに活用を検討しましょう。

 

■『NHK きょうの健康』2013年3月号より

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