健康

子どもが頭を打った時の見極め方と対処法


2014.12.28

イラスト:matsu(マツモト ナオコ)

子どもが成長して行動範囲が広がるほど、けがをすることも増えてきます。特に小さな子どもは体に対して頭が大きく、バランス感覚も十分でないため、頭から落ちたり転んだりすることもよくあるでしょう。小児科医の金子光延(かねこ・みつのぶ)さんが、頭を打った時の状態の見極め方や対処法、けがを防ぐ対策などについてお答えします。

*  *  *

Q 頭を打った! 最初にチェックすることは?

頭を打った直後から「ワーッ」と大きな声で泣いている場合は、まず大丈夫。優しくあやしながら、まずは頭部に傷がないか、髪の中までよく確かめましょう。傷が深い、出血量が多いなどの場合は、止血の処置をしたうえですぐに医療機関を受診してください。

逆に、あまり泣かない場合は要注意。「呼びかけに応えない」 「意識がはっきりしない」場合は、脳に障害が起きている可能性があるので、至急、救急車を呼んでください。意識障害があるときは、吐いたものや唾液が気管に詰まらないように、横向きに寝かせて救急車を待ちましょう。

Q 元気そうにしているけど、本当に大丈夫?

頭の中で出血が起きていると、しばらくしてから症状が出てくる場合もあります。頭を打ってから少なくとも24時間はなるべく静かに過ごし、何か異変がないか、よく観察することが必要です。「嘔吐(おうと)を繰り返す、けいれんが起こる、意識が低下する、呼吸が乱れる」などの症状が見られたら、至急、救急車を呼んでください。「何となく元気がない」などで心配な場合は、脳神経外科を受診して相談するとよいでしょう。24時間たって何も異常が現れなければ、まず心配はありません。

乳児で、頭を打ってから数日から数か月後に、原因不明の貧血や哺乳力の低下が続く場合は、頭の中で慢性的な出血が起きている可能性があります。小児科で相談してください。

Q こぶができたけど大丈夫?

こぶは頭皮の下の出血(皮下出血)で、頭蓋内出血とは別のものです。腫れて痛むので、冷たいタオルなどで冷やしてあげるとよいでしょう。こぶはだんだん硬く小さくなって治ります。ただ、大きなこぶの場合は、皮下出血がしこりになって、膨らみが少し残ることもあります。やはり乳児で注意したいのが、こぶのようだけど、ぶよぶよと柔らかく、いつまでも小さくならないケース。頭蓋骨が骨折して髄液が浸み出した「髄液漏(ずいえきろう)」の可能性があるので、脳神経外科を受診してください。

Q 頭のけがを防ぐために気をつけることは?

一時的でも、子どもを高い場所に一人だけにするのは、絶対に避けましょう。また、ひとり立ち、ひとり歩きを始めるころから転倒や転落の事故が多くなります。周りに危険がないか常に注意し、子どもから目を離さないでください。ただ、いくら気をつけても、親の目の前で転ぶこともあります。いざというときも冷静に対応できるような心構えをもつことが大切です。

最近増えているのが、自転車事故での頭部損傷。脳挫傷(ざしょう)などの重症なけがも多く報告されています。親の自転車の前後のシートに乗せるときも、子どもだけで乗るようになってからも、ヘルメットは必ず着用し、安全には十分に気をつけてください。

Q CT検査を受けたほうがよいの?

頭を打つと、「脳に異常がないか」と心配になるものです。医療機関を受診すると、脳の状態を調べるCT検査が行われることもありますが、それですべてがわかるわけではありません。例えば、けがの直後などで出血量が少ない場合は、CT検査で診断できないこともあるのです。また、検査による放射線被ばくの問題もあるので、特に症状もないのにCT検査を受けるのは、あまりお勧めできません。

もちろん、意識障害などの症状があれば速やかな検査が必要ですが、子どもがふだんどおり元気に過ごしていれば、それほど心配しなくても大丈夫。大切なのは、頭を打ったあとの子どもの様子をしっかりと観察することですね。

■『NHKきょうの健康』連載「こんなときどうする?子どもの健康質問箱」2014年11月号より

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