健康

始まった希少がん対策:前編 – 希少がんとは何か


2014.12.24

今年6月、国立がん研究センターの中に「希少がんセンター」が開設された。発生率が低いがんであり、治療に関する情報が不十分な希少がん。治療と研究の拠点ができたことで、医療側と患者さんの連携を強めようという動きがある。同センター長を務める川井章(かわい・あきら)さんが、希少がん対策の今について詳解する。

*  *  *

発生率が低く、医療状況が不十分な「希少がん」

■年間発生率が10万人に6人未満のがん
「希少がん」と呼ばれるがんがある。「年間の発生率が10 万人当たり6人未満」で、なおかつ「診断や治療のデータが不十分」「治療開発が遅れている」「患者さんや医療スタッフへの情報提供が十分でない」など、ほかのがんに比べて不十分な医療状況にあるがんの総称だ。

発生率を比較すると、日本人に最も多い胃がんは年間10万人当たり67人となっている。これに対し、軟部肉腫は3.6人、脳腫瘍の一種である神経膠腫(こうしゅ)は2.5人、皮膚がんの悪性黒色腫は1.1人である。もっと少ないがんもあり、胃がんなどと比べると、発生率は数十分の一から数百分の一程度の違いがある。

それぞれのがんの患者数は少ないが、希少がんといわれるがんの種類は多く(下掲の表参照)、すべての希少がんを合わせると、患者数はがん全体の15~20%を占めている。

がんの多くは中高年に多い病気だが、希少がんについては、肉腫のように、子どもによく見られるがんが少なくない。患者数の多い通常のがんとは、発生のメカニズムが違うのではないかとも考えられている。

■治療は手探りの状態
がんの治療法は、胃がんや肺がん、肝がんなどの種類によって全く異なっている。希少がんについても同様で、一つ一つ治療法が異なる。

そのため、それぞれのがんの診療に習熟している医師は、全国でも僅かしかいない。情報も少ないため、手探り状態で診療が進められているのが現状だ。

■患者さんの相談窓口が必要
患者さんにとっても入手できる情報はほとんどなく、自分のがんについて知ることが非常に困難だ。

また、患者数が少ないため、同じがんの患者さんに出会うこともほぼないといえる。それによって孤立感を覚えている人もいる。

これまでは、どこに専門の医師がいるのか、どこの医療機関を受診すれば専門的な治療が受けられるのか、ほとんど情報が得られなかった。
そのため、希少がんに関する正しく適切な情報を提供してくれて、患者さんのこうした相談に乗ってくれる窓口が必要とされていた。

主な希少がんの種類

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続きはこちら → 始まった希少がん対策:後編 – 「希少がんセンター」の設立と医師の育成

■『NHKきょうの健康』2014年11月号より

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