健康

狭心症 早期に対処するために知っておきたい症状とは


2014.04.25

イラスト:平山正子

心臓の血管が狭くなってしまう「狭心症」は、病状が進むと心筋梗塞を引き起こす危険性がある。榊原記念病院 部長の桃原哲也(とうばる・てつや)さんは、「早めに対処するために、症状をしっておきましょう」と話す。

 

*  *  *

 

狭心症と心筋梗塞

 

心臓は、全身に血液を送り出す臓器です。そして心臓の筋肉には冠動脈という血管が張り巡らされ、心臓自体にも血液が運ばれてきます。この冠動脈の内側にコレステロールなどがたまり、血管の内腔(ないくう)が狭くなってしまうのが狭心症です。血流が低下して心臓の筋肉に届く酸素が不足しやすく、それによってさまざまな症状が現れてきます。

 

狭心症の状態からさらに進み、コレステロールなどを覆う膜が破れてしまうと、血液の塊(血栓)ができ、冠動脈が完全に詰まってしまいます。こうなると、詰まった先に血液が流れなくなり、心臓の筋肉の一部が壊死(えし)してしまいます。この状態が心筋梗塞です。詰まる部位によっては、突然死を起こすこともあります。

 

日本では年間4万人ほどが心筋梗塞で亡くなっています(※)。ただ、死亡の原因がわからない人の中にも心筋梗塞で死亡した人がいる可能性があるため、実際はもっと多いのではないかといわれています。

 

■狭心症のうちの対処が大切

命に関わる危険性のある心筋梗塞は、できるだけ予防する必要があります。そのためには、狭心症の症状に早く気付き、狭心症のうちの適切な対処が大切です。

 

狭心症の症状

 

狭心症の典型的な症状は、締めつけられるような胸の痛みです。一般的には5分間程度で治まり、30分間以上続く場合には、心筋梗塞の可能性があります。

 

■「放散痛」にも注意する

胸の痛み以外に、「腕」「背中」「のど」「奥歯」などの痛みが起こることもあります。このように、痛みの原因がある心臓とは別の部位に現れる痛みを、放散痛といいます。体の左側に現れることが多く、「肩こり」や「胸やけ」を感じることもあります。

 

放散痛が起こるのは、脳が“勘違い”を起こすからだと考えられています。例えば、「腕の痛みの信号」と、「心臓の痛みの信号」はすぐ近くを通るため、心臓の痛みを、脳が腕の痛みと勘違いしてしまうのです。

 

放散痛だけが起こることは少なく、多くの場合、胸の痛みに伴って起こります。

 

■症状の現れ方の特徴を知っておく

狭心症の症状は、運動したときに起こるという特徴があります。激しい運動ということではなく、緩い坂道を上る、階段を上るなど、日常生活での軽い運動時にも起こります。狭心症の症状のこのような特徴を知っておくと、症状に気付きやすくなります。症状に気付いたら、早めに医療機関を受診しましょう。

 

心筋梗塞への進行

 

狭心症がある人は、症状の現れ方によっては、心筋梗塞に注意しなければなりません。例えば「これまでよりも強い症状が現れている」「症状が長く続く」という場合や、「軽い動作をしただけで症状が現れるようになった」「症状が頻繁に現れるようになった」という場合です。また、「初めて症状が出てから1か月以内に再び症状が出た」場合にも注意が必要です。

 

狭心症の症状がこのような現れ方をする場合には、不安定狭心症の可能性があります。心筋梗塞に移行する危険性が特に高い狭心症です。

 

狭心症がある人の冠動脈は動脈硬化を起こし、コレステロールなどがたまった膨らみができていますが、この膨らみの状態が安定していれば、すぐに心筋梗塞を起こす危険性はほとんどありません。

 

しかし、不安定狭心症の場合はコレステロールなどが多かったり、膜が薄くて破れやすくなっています。そのため、不安定狭心症は心筋梗塞を起こしやすいのです。不安定狭心症の症状が現れていたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

 

狭心症には、動脈硬化が原因になるタイプ以外に、「冠攣縮(れんしゅく)性狭心症」という、血管の痙攣(けいれん)が原因になるタイプがあります。深夜から早朝にかけて起こる狭心症で、心筋梗塞を引き起こすこともありますが、薬による治療で心筋梗塞を予防できます。

 

■『NHKきょうの健康』2014年4月号より

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