健康

子どもの腹痛 可能性のある病気と周囲の大人の対処法


2014.02.10

イラスト:クスノキミワ

小さな子どもが激しく泣いたら、腹痛を疑うことも必要だ。子どもの様子に、いつもと違うところがないか、周りの人が注意して、病気のサインに早く気付くようにしよう。腹痛が症状として現れ、外科的な治療が必要となる主な病気について東京大学大学院 教授の岩中 督(いわなか・ただし)さんにうかがった。

 

*  *  *

 

腹痛が起きたとき

 

子どもの腹痛の原因には、「便秘」、ノロウイルスやロタウイルスなどによる「感染性胃腸炎」、「かぜ」「ストレス」などさまざまなものがあります。適切に対処すれば、それほど心配しなくてもよいことが多いのですが、なかには、「急性虫垂炎」「腸重積症」「鼠径(そけい)ヘルニア嵌頓(かんとん)」など、外科的な治療が必要になる場合もあります。

 

◆急性虫垂炎

 

大腸の端にある「盲腸」の先端に、鉛筆ほどの太さで長さ6〜7cmの「虫垂」という突起物があります。その内腔(ないくう)が閉塞して細菌感染が起きると、急性虫垂炎になります。俗に“盲腸炎”とも呼ばれるこの病気は、5、6歳以上の子どもに発症することが多く、男女差はありません。

 

症状は、最初はみぞおち辺りの痛みから始まり、同時に吐き気を催すことも多く見られます。そのうちに徐々に右下腹部がズキズキと痛みだし、時間がたつにつれて、嘔吐(おうと)や発熱が起こります。

 

◆腸重積症

 

腸重積症は、小腸の終わりの部分が大腸に潜り込み、望遠鏡の筒のように重なってしまう病気です。どうして起きるのかはわかっていませんが、3か月から2歳ごろまでの男児に多く見られます。かぜをひいているときによく起こることも知られています。

 

症状は、突然嘔吐したり、機嫌が悪くなり、いつになく激しく泣くこともあります。特徴的なのは、2〜3分ごとに「機嫌がよくなったり悪くなったり」し、腹痛を繰り返すことです。時間の経過とともに悪化し、イチゴジャムのような粘血便が出ることもあります。その状態で時間がたつと、潜り込んでいる腸が壊死(えし)して命に関わることもあるため、早く気付いて対処することが大切です。

 

◆鼠径ヘルニア嵌頓

 

赤ちゃんの腹膜が、袋状に飛び出ている場合があります。この袋は、通常は自然に縮小しますが、そのまま残ってしまうと、この中に腸や卵巣などの臓器が飛び出ることがあります。その場合、脚の付け根(鼠径部)が膨らみ、これを「鼠径ヘルニア(脱腸)」といいます。

 

注意したいのは、飛び出た臓器が元に戻らなくなり、袋の入り口で締めつけられた状態になることで、これを「鼠径ヘルニア嵌頓」といいます。その状態が続くと血流が悪くなり、飛び出した臓器が壊死に至ることがあります。

 

症状は、膨らんでいるところが硬く腫れ、非常に強い痛みがあるため、触ると嫌がって激しく泣きます。不機嫌になるだけでなく、嘔吐したり、顔色が悪くなったりすることもあります。

 

サインを見逃さない

 

小さな子どもは、自分で“おなかが痛い”と訴えることができないため、周りの大人が子どもの発するさまざまなサインを見逃さずに、早く気付くことが大切です。

 

子どもの病気は、発症後早く治療しないと、悪化して治療が大変になるものもあります。自分で判断するのが難しい場合は、かかりつけ医に相談してください。夜間や休日は、全国共通の小児救急電話相談「#8000」番に電話して相談するとよいでしょう。小児科の医師やベテランの看護師が個別に対応し、アドバイスしてくれます。

 

■『NHKきょうの健康』2014年2月号より

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