健康

早期大腸がん 治療法の選択


2013.11.03

イラスト:クスノキミワ

早期に発見することが可能な「大腸がん」は、治療の選択肢も増え、患者さんの体に負担の少ない方法が選べることも増えている。がん・感染症センター 都立駒込病院 部長の髙橋慶一(たかはし・けいいち)さんに、早期大腸がんについて聞いた。

 

*    *    *

 

大腸は大きく2つに分けられ、胃や小腸から続く部位を「結腸(※)」、肛門に続く15cmほどのまっすぐな部位を「直腸」といいます。がんのできる部位により、「大腸がん」は、「結腸がん」と「直腸がん」に大別されます。

早期の大腸がんの治療では、最近、次の2点が変わってきています。「早期発見や正確な診断ができるようになった」「大腸がんの中でも、結腸がんと直腸がんでは、治療方針が異なる」ことです。

 

大腸の働きと構造

 

大腸は、水分吸収と排泄(はいせつ)を担う臓器で、腹部を囲むように位置し、成人ではおよそ1.5mの長さになります。管状になっており、胃や小腸などで栄養分を吸収された食べ物の残りは、大腸で便として形づくられ、肛門から排泄されます。

 

大腸壁は5つの層が重なって構成されており、最も内側から「粘膜」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜(しょうまく)下層」「漿膜」と呼ばれます(上段の図参照)。

 

がんは大腸の粘膜に発生し、隆起したり、徐々に外側へと広がっていきます。粘膜や粘膜下層にがんがとどまっているものを、「早期がん」と呼びます。

 

粘膜下層より深いところに浸潤したがんを「進行がん」といいます。粘膜下層より深い部分には、血管やリンパ管が多くなるため、それらを通じてほかの臓器への転移の可能性が高くなります。

 

検査・診断

 

大腸がんの検査では、「便潜血検査」と「内視鏡検査」が行われます。

 

便潜血検査では、便の中の血液に対する反応の有無により、出血があるかどうかを調べます。簡便な検査ですが、最近ではごく微量の血液も検出できるようになりました。

 

この検査で出血が確認された場合、大腸がん以外に、肛門周囲の静脈が排便時に切れて出血する「痔(じ)核」や、「良性の腫瘍」など、ほかの病気である可能性もあるので、内視鏡検査を行います。

 

大腸の表面を観察するほか、特殊な染色液で染色し、拡大して見ることで、表面の模様(ピットパターン)が鮮明に見えるようになり、良性か悪性かや、がんの深さ(進行具合)が、ある程度わかるようになってきました。ピットパターンは、正確な診断のために役立ちます。

 

治療の基本

 

早期がんの治療では、病変を切除するのが基本です。

 

結腸がんでは、治療のポイントは「がんの深さ」です。がんの深さによって、「内視鏡治療」「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」「手術」など、患者さんに適した治療法が選択されます。

 

一方、直腸がんの治療では、がんの深さに加えて、「がんの位置(肛門からの距離)」がポイントになります。最近は新しい術式により、肛門を温存できるケースが増えています。

 

※結腸:上行結腸、横行(おうこう)結腸、下行結腸、S状結腸に分けられる。

 

■『NHKきょうの健康』2013年11月号より

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