教養

プラトン『饗宴』の場はサロンのような社交イベント


2013.07.25

「饗宴」は、一般的に日本で「酒宴」を意味する。では、プラトンの代表作の一つである『饗宴』ではどのような雰囲気のなかで議論が進んだのだろうか。

 

『NHK 100分de名著』で『饗宴』を解説した慶應義塾大学文学部教授の納富信留(のうとみ・のぶる)氏に聞いた。

 

 

*  *  *

 

「饗宴」という日本語が当てられるギリシア語の「シュンポシオン」とは、「一緒に飲む」という意味で、現代の「シンポジウム」の語源になりました。アテナイの上流階級が邸宅に集ってお酒を飲みながら議論や余興を楽しむ社交イベント——フランス近代の「サロン」のようなもの——で、文化的な交流だけでなく、時に政治的陰謀の舞台にもなっています。

 

寝椅子に横になって、召使いたちがサーブする食べ物やワインを楽しみながら談笑する気楽な雰囲気です。曲芸や音楽といったエンターテインメントが提供され、芸妓が呼ばれて乱痴気騒ぎになることもあったようです。プラトンと同時代の作家クセノフォンにも同名の『饗宴』という作品があり、ソクラテスたちが宴会で知的な会話をくり広げています。

 

「饗宴」では、文化人や上流社会の知的遊戯として、ウィットに富んだ会話が交わされます。現代では飲み会や家でのパーティーといったところですが、その時々でテーマを設定して、それについて参加者がそれぞれ言論を提供する楽しみもありました。

 

■『NHK 100分de名著』2013年7月号より

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