料理

江戸時代のグルメ本に学ぶ豆腐料理


2017.10.05

奥村流「鶏卵田楽」は、卵液をまとわせてピカタ風に。

江戸時代後期に刊行された『豆腐百珍(とうふひゃくちん)』は都市部では身近になっていた豆腐の料理百品を紹介したもので、単一の食材を主役に構成された初めての料理本です。食材はもちろん、調味料も調理器具も調理法も限られていた時代ですが、変わりもの好きで工夫好きな日本人の面目躍如、実にユニークでバラエティー豊かな豆腐料理がそろっています。『NHK まる得マガジン 江戸グルメ本に学べ! ヘルシー豆腐活用術』では、伝承料理研究家の奥村彪生(おくむら・あやお)さんが、この『豆腐百珍』に掲載されている料理を調理法別に抜粋し、現代風にアレンジして紹介しています。

 

まずは「焼く」調理法からひもといてみましょう。

 

*  *  *

 

『豆腐百珍』原本にみる「鶏卵でんがく」

 

たまごを剖(わ)り、

豆油(しやうゆ)と酒しほ少し入れ、

醋(す)を最(もつとも)少し加へ、よく攬(かきま)ぜ、

田楽にぬり炙(やき)にするなり。

ふくれるを度(ほど)とす。

罌粟(けし)と擦山葵(おろしわさび)をく。

 

現代語訳 ◎ 卵を割って、しょうゆと酒、塩を少し、酢をごく少量加えてよくかき混ぜる。これを田楽に塗って、膨れてくるまで焼く。けしの実とおろしわさびをのせる。

 

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みその代わりに、卵液を塗って焼いた「鶏卵田楽」。酢を入れるのは、卵を早く固めるため。

 

「豆腐を焼く」ということ

 

「焼く」ことは、「煮る」などと同様、最もシンプルな調理法です。豆腐を焼く料理といえば、串を打ち、みそを塗って焼く「豆腐田楽」を思い起こす人も多いはず。「豆腐田楽」は早くも南北朝期に京都の神社で作られ、室町、安土桃山時代を経て江戸時代後期には庶民の間でも愛される味に。炭火であぶった豆腐田楽の香ばしさは格別のものだったことでしょう。『豆腐百珍』にも、「田楽」とつくものが14品登場しています。

 

テキストでは、卵液を塗ってあぶる「鶏卵でんがく」(上記参照)、しょうゆでつけ焼きにしてさらにみそをつけてあぶる「再炙(ふたたび)田楽」、そして、あまりに一般的なものなので調理法が記されなかった「炙(やき)豆腐」を現代風にアレンジ。すべてフライパンで調理します。豆腐は軽く水きりをし、中までしっかり温まるよう、中火でゆっくり焼くのが共通のポイント。香ばしさが食欲をそそります。

 

※紹介した料理のつくり方はテキストに掲載しています。

 

撮影:三村健二

 

■『NHKまる得マガジン 江戸グルメ本に学べ! ヘルシー豆腐活用術』より

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